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誰庭セッション第三回

  • 主催
  • 8月23日
  • 読了時間: 7分

人喰い竜による襲撃。

それは各地で幾度となく繰り返しされている惨劇。

そして、今もなお…

まさにとある村がその渦中にあった。

襲来から数刻たったその地は、もはや戦える者を蹂躙し尽くした跡だ。

残された人々は自身の生存のため、ある者は逃げ惑い、ある者は息を潜め事が過ぎるのを待つしかない。

だが、そんな状況にも変化が現れる。

希望の光となるか、はたまた地獄への燃料投下となるかは定かではないが。


「◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ー!!!」

とある竜の咆哮により呼び出される者たち。

普段通りの日常を送っていたものが大半であろう

ウィルマ、ルーク、ツヴァイ、チェイス、虹霓、ドクトールは突如この地へと転移させられてしまった。

召喚された、とでもいうのだろう。

景色が急に変わった貴方たちの眼前にあったのは、青空、飛び交う大きな影、倒壊した建物、悲鳴

そして、美しい竜


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極彩色を持つその竜がこちらへと振り返った。白い睫毛に縁取られた空色の瞳がこちらを捉える。

彼は、赤く染った口を開いた。

ミネエラ「へぇ、彼も気が利きますね」

ミネエラ「新しい獲物を寄越してくれるなんて」

とぐろを巻き、こちらに狙いを定めるその姿は完全に捕食者のそれであろう。

貴方達は生き残るために戦わなければならない。


敵はミネエラ一体のみ。他の人喰い竜は手を出さず上空から見守っているようだ…



ツヴァイ「はぁ…???花嫁といちゃついてたってのになんだ?あぁ??テメェぶち殺すぞカスが(ぶち切れ」

ルーク「ツヴァイ…!?何でお前が…いやそれは俺もか。また呼び出されたようだな…」

ドクトール「...へぇ珍しい。喋る竜って脳みそと声帯、舌の筋肉の発達具合とかが他の竜と違うのかな?解剖素体とか欲しいな」

ウィルマ・グレイ「ぜ、絶対にそれどころじゃない」

チェイス「お前ら適応早ぇな…ここに飛ばされる心当たりが全くねぇんだが」

ツヴァイ「あぁん!??あ!!?ルーク!!ルークじゃねぇか!!んでここにいんだよ~!!!(駆け寄って肩組み)え!!姉貴にチェイスいんじゃん!!なんだここ!!」

ドクトール「やあウィルマくん久しぶり。というか、帰らないと実験途中のやつ...まぁいいか爆発しても...」

ウィルマ・グレイ「お久しぶりです兄貴絶対に大丈夫じゃないと思うんですけど!」

ドクトール「大丈夫大丈夫。それよりウィルマくん。あれに突撃して仕留めてきてくれると嬉しいなって」竜を指さし

ルーク「なんでも何もお前と一緒だ。おそらく全員な…好きに暴れていい場所だと思っとけ」ツヴァイさんの頭ポンポン

ウィルマ・グレイ「ウワーーッ1番嫌なこと言われた、けどやらないと死ぬ!嫌!」

ツヴァイ「おう、言われなくてもぶっ殺す!!姉貴もいるからこいつの肉食えそうだしな!!!」

ミネエラ「威勢がいいですね。嫌いではないのですが、大人しくしていてくださいね」

チェイス「誰が大人しく食べられるってんだ」

ウィルマ・グレイ「その通り、我々が大人しく可哀想な羊だと思ったら大間違い!」

ツヴァイ「…オレら羊じゃねえぞ!オマエ何言ってんだ!」

ウィルマ・グレイ「ン、ハイ、羊じゃないって言ってるので正しいかと?」

ルーク「貴様らが平然と喋っていると脳がバグる。黙ってろ」

ミネエラ「なぜ抗うのです?理解できませんね」

ルーク「…理解しなくていい。こっちも貴様らなぞ理解してねェ」

ドクトール「ふむ。喜んで肉体を差し出すべきと?それとも弱いから諦めろのどっちでしょう?」

ミネエラ「喜んで肉体を差し出すものでしょう?」

ウィルマ・グレイ「兄貴議論始めようとしないで!」

ドクトール「せっかく会話ができるからつい」

ツヴァイ「オマエ馬鹿だろ、じゃ~オマエもよえーから食われろって言われたら食われるのかよ、ばーか!」

ツヴァイ「どーよ俺の一撃ぃ!!ルーク見たか!!コイツぶっ殺したら次オマエな!!!」

チェイス「なんでナチュラルに喜んで食われるもんだと思ってんだコイツ」

ドクトール「我々高貴な種に食べられることは誉という思想ですかね?」

ミネエラ「高貴も何も…」

ミネエラ「だって、ニンゲンは私の美しさが好きでしょう?」

ミネエラ「私の美しさを最期に拝みながら死ねるのですよ?嬉しいはずですよ」

ドクトール「あーなるほど...でも、生きてない方がいいな...剥製とか...」

ツヴァイ「何言ってんだオレの花嫁のほうが綺麗で可愛いに決まってんだろ!!」

ルーク「…頭がいてぇなここ」(眉間のシワを揉む)


虹霓はこの状況を好転させるために敵を観察するだろう

自慢の武器であろう長くしなっている尻尾が目に入る。集中的に叩けば攻撃手段を失うだろうか。

モチーフ的にも、セイレーンや人魚と似ていると虹霓は直感する。

首元、ただしくは喉を集中的に叩けば厄介な攻撃も出来なくなるかもしれない。

虹霓「顔見知りが集められたか、何者かの意図か……今はそれどころではないな」

虹霓「少年、動けるな!」

ツヴァイ「おっなんだ姉貴ぃ!!オレはいつでもいけるぜ!!」

虹霓「喉、あるいは尾を狙え!」

虹霓「見知らぬ土地に竜がたくさん、食わずにおめおめと死ねる訳がないよなぁ!?」

ツヴァイ「ぶっ殺して食わねぇともったいないよなぁ!」

チェイス「魔鉱石見当たんねぇな…後で別の竜のやつ狙うか。幸い、ここには獲物がたくさんいやがる」

ドクトール「ナルシスト思想かぁ...それじゃあ、竜の美的感覚と人間の美的感覚は似ているかどうかも分からないな」

ミネエラ「やんちゃがすぎますよ」

ウィルマ・グレイ「ほらのんびり喋ってるから!」

ツヴァイ「い”っ…!!てぇ~!!」

ドクトール「ウィルマくんを盾にするしかないか...」

虹霓「貴殿もなかなかにやんちゃであらせられるようだ」

ウィルマ・グレイ「マジで!マジで洒落にならない」逃げてえ〜…

ツヴァイ「いってぇ!!マジでいてぇ!!くそ~~…次は絶対よける!!!」

ルーク「…フン、どうしたツヴァイ。遊んでやってるのか?」地面に着地して袴パンパン

ツヴァイ「ぐっ…そ、そーだ!!今準備運動してんの!!見てろよ絶対よける…!!」

ルーク「ハハッ、そうだろうな?期待してるぞ」

虹霓はその身を竜へと変貌させた

竜化してすぐに攻撃できるだろう

虹霓「今日は坊やもいるからな。少々格好つけさせてくれよ!」

ツヴァイ「うおおおぉ!!姉貴の龍の姿!!かっけー!!!!」

チェイス「喉か尻尾狙えばいいんだな?」「チッ…あんま手応えねぇな」

ウィルマ・グレイ「もうこの人たち置いて逃げたい〜……」

ドクトール「ウィルマくんが逃げたら報復に何してもらおっかな」

ウィルマ・グレイ「ひ、被験体は嫌だ!竜よりこの人の方が怖い!」

ドクトール「被検体はいやかぁ。」

ミネエラ「ぐ…………キュ…」

ドクトール「おやおや、可愛らしく鳴けるじゃないですか」

ウィルマ・グレイ「怖ッ……」ちょっと離れる

ツヴァイ「うわ…………」

ルーク「はっ、声が枯れるまで鳴いてもらうぞ」

ルーク「っく…」

ドクトール「あまり声を枯らすと嗚咽が聞こえなゲフンゲフン。私、優しいので手加減です」

ルーク「逆に聞きてぇのか?嗚咽」

チェイス「とんだサディストがいるな…」

ドクトール「えぇそれはもう」

ツヴァイ「なんだルークオマエ攻撃するたびに苦しそうだな…わかったぞオマエ油断して攻撃食らったんだろ!馬鹿だなー!!俺がコイツをしっかり仕留めて肉食わせてやるからな!!」

ルーク「…一人で喋ってなにしとんだお前は」呆れ顔

ドクトール「おやおや。できなかったですね」

ツヴァイ「がー!!!!避けるな!!!!!(地団駄」

チェイス「張り切りすぎて空振ってんぞ」

ツヴァイ「う、うるせぇな!!つぎあてりゃあいいんだろ!!」

虹霓「そこは私の真似をしなくて良いんだぞ」

ツヴァイ「してない!!!」

虹霓「次こそは、当てるッ!」

ツヴァイ「さすが姉貴~~!!!」

虹霓「ぐぅ……! 大分持っていかれるようだな……」

ルーク「張り切っているようだな、回復いるか?」


ミネエラ「…」

ミネエラ「はぁ、疲れました。もういいです」「美しい私を傷付けるなんて、失望しましたよ」

ミネエラはそう言うと、翼を広げその場から飛び立つ


ミネエラ「あなた達、ドラーク様の元に帰りますよ」

様子を見ていただけの人喰い竜たちも、彼の言葉に従うようにして踵を返し上空へと消えていった。

あれだけの数がいた竜も、一匹残らず撤退したようだ。

 貴方達はこの村から人喰い竜を退けることに成功したのだった。

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