朝焼け空に流れる一筋の光が、その少女…音葉の瞳に映りこんだ。
「__せ……起、てください…
先生…!」
はっと目を覚ませば、白み始めた空が目一杯広がっている。
__ここは…?
彼、ディランはそっと体を起こした。
そこには火が消えたばかりであろう、まだ温かさの残る焚火跡が燻っている。
周りを見渡せば、数百メートル先に森林があるだけでそれ以外は何の変哲もない平原に囲まれていた。
遠くから聞こえる鳥竜の鳴き声が朝を告げている。
野原を撫でて吹く風が少し肌寒い。
「おはようございます、先生」
テントを片付け終わった少女がディランに声をかける。
__あぁ、そうだった。
野宿をすることになって、火の番をしていたらうっかり寝てしまった…。
ディラン「ごめんね音葉、また任せてしまって…」
そう言われた音葉は眉尻を下げて困ったように微笑む。
音葉「大丈夫ですよ、先生は気にしないでください。」
先生がやることではないですし__
そう彼女は付け足すと一拍置いてから、少し遠慮気味に先に見える森を指さした。
音葉「それより先生、次の目的地に向かう前に……あそこに寄ってみてもいいですか?」