カラカラと乾燥した熱風が肌を撫でる。
うんざりするようなこの暑さの中でもこの地に適応した馬竜はその歩みを止めることなく…
砂漠の中を進む三人の一行。
途中途中で音葉とアダムが着いてきているのを確認しながら先導するディラン。
着くまでの間、暇つぶしにディランはこの神殿について軽く語り始めた。
ここに遺された神殿は建造物が古すぎて、大部分が砂に飲み込まれておりほとんどが埋もれてしまっているというのだ。
さらに、おそらく二千年以上前から遺っている建造物であるとも言及し、ここならば人喰い竜の手がかりがあるかもしれないと述べた。
やがて、彼らは神殿跡地に到着する。
ディラン 「初めて来たけど、凄いね…」
ディランが話した通り、ほとんどの建造物が砂に埋もれていた。
半壊した天井部分が時の流れと砂嵐によって削られ、柱も斜めに埋まっている。
乾ききった砂が周囲を取り囲む倒壊した建物たちはその場所に寂しさと歴史の厚みを感じさせる。
馬竜を少し離れたとこにつなぎ止め跡地に足を踏み入れれば、その静寂と荒涼とした光景に圧倒された。
草木もなく、風の吹く音だけが聞こえる。
倒れた壁と裂けた天井からは、かつての栄華と繁栄を物語る装飾が残っている。
しかし、今やそれは、荒廃と朽ち果てた時の証であった。
ディラン 「あ、アダムくんは無理に探索しなくていいからね。何かあったら呼ぶよ。」
アダム 「まだ大丈夫だ。手伝える。
……先生、具合が悪いのか?」
確かに神殿跡地に着いてからというもの、ディランの顔色があまり優れていないように見える。
ディラン 「え…?…あぁ、大丈夫だよ。」
もしかしたら水分補給足りてなかったかな、と苦笑いをして革製の水筒から水を飲むディラン。
埋もれ具合から見るに、探索箇所はそんなに多くないだろう。
三人は手分けして探索することになったが音葉が早速何かを見つけたらしい。
倒壊している柱の下部。
掠れていて分かりづらいが、確かにそれは文字だった。
丁寧に砂埃を落としてみるが、それは音葉の知る既存のものではない。
知らない言語だ…。
音葉 「先生、あの…!」
音葉に呼ばれディランもその文字列を確認する。
ディラン 「あ、これはヨナくんが言ってた発見されてる古代語の一文だね。
確か翻訳された文は…、の神殿…資格ある者のみに扉は開かれる…何の神殿かまでは判明してないみたいで…
ヨナくんは生きる魔術大辞典みたいな教授なら開くんじゃないかって言ってたけど、そんなわけないよね」
ディランと音葉が文字列をまじまじと見つめていると、アダムが二人の元へやってくる。
アダム 「なにか見つけたのか?」
ディラン 「あ、アダムくんこれね__」
突然、石同士が強く擦れるような音が鳴り響きディランの声はかき消された。
「な!?」
足場にしていた砂地が崩れ落ちる。
お互い手を伸ばす間もなく
まるで砂地獄のように、三人は足元の砂に飲み込まれてしまった。