11月6日読了時間: 6分緋の章緋の章 第13話「氷高殿、こちらの案件はどういたしましょう」 雪彦「保留で。今は限られている資金を兵力増強に回してください。余計なことに使う余裕はありません」 大量の書類や巻物を手にし忙しなく雪彦は歩いている。 次から次へと報告しに来る一人一人に対応しさばきながら、片すべき案件について思...
9月26日読了時間: 6分緋の章緋の章 第12話暁龍領が人喰い竜に襲撃されて一ヶ月。 そして、月緋様が失踪してから一ヶ月が経った。 理由はわからない。 ただ突如、暁龍領が襲撃されて数日も経たないうちに、行方を眩まして、 そのまま。 傍に仕えていた者に尋ねても皆、寝室へと向かったのを最後に姿を見ていない。...
9月21日読了時間: 2分緋の章緋の章 第11話月緋「ふむ…喉が掻っ切られたような跡があるな」 肉が焦げたものと同等の匂いが漂うその部屋は、黒ずんだ躯が幾つも均等に並べられている。 死体安置所にて、月緋は片膝をつき目の前の焼け焦げた遺体を観察していた。 雪彦「主要転送装置を管理していた魔術師二名、監視兵五名が殉職。その遺...
9月21日読了時間: 2分緋の章緋の章 第10話次にアグネスが目を覚ましたときには、事は既に終わっていた。 暁龍領の被害は甚大で、死者数負傷者数も把握できず。 領の上空に消火の跡が燻る。 被害に遭っていない動ける者達はみな救助活動や二次災害を防ぐために駆り出されているという。...
9月21日読了時間: 3分緋の章緋の章 第9話アグネス「こ、来ないで…」 鋭利で暴力的な竜の牙が今まさにアグネスを襲わんとしていた。 だが、その牙が彼女にかかる寸前で一刀両断される竜の首。 転がるそれを横目に刀の血を払い納刀するのは今しがた現れた月緋だった。 月緋「小娘、無事か」 アグネス「つ、きひ…」...
9月21日読了時間: 2分緋の章緋の章 第8話「逃げろぉ!火事だ!!竜も襲撃してきているぞ!!」 屋敷に仕えている者達の怒声が響く。 その声をかき消すように勢いを増す炎の渦。 木造で出来た建造物は瞬く間に炎に食われ、瓦解していく。 桜花「お嬢様ッ!!…ッここを開けてください!!」...
9月21日読了時間: 3分緋の章緋の章 第7話長い城壁の眼前に広がるは緑豊かな草原。 のどかな風がそよそよと吹き抜け、草の穂先を揺らす。 朧帝国最東部、国境最前線 ここはもうまもなく戦場になる …はずだった。 月緋「誤報だったのか?」 敵国が攻めてくると知らせを受けて城壁の上で待ち構えていたが、敵影一つも見当たらない...
9月21日読了時間: 4分緋の章緋の章 第6話雄大な山々がそびえ立ち、清冽な風が吹き降りてくる。 その山脈を背にし、重厚な木造建ての城が佇んでいた。 ここは朧帝国の中央寄りに位置する、月緋が治めている暁龍(かつかみ)領。 城の頂上からは一望できる眺めは壮観で、眼下に広がる城下町が美しく広がっていた。...
9月21日読了時間: 2分緋の章緋の章 第5話月明かりだけが頼りの薄暗い廊下を渡っていく。 昼は鮮やかだった庭園が、夜と闇に染まって静まっていた。 夜風にそよぐ髪を鬱陶しげにかきあげた彼は、彼女のいる部屋へと足を運ぶ。 襖を開ければすぐ目の前に彼女は立っていた。 月緋 「なんだ、待っていたのか?」...
9月21日読了時間: 8分緋の章緋の章 第4話太陽が青を降ろし橙色のカーテンを引く時刻、紅の葉に囲まれた屋敷に陰が落ちる。 特別な事がなければ、暗くなる前に就寝の準備をするというのがここでの習慣。 だが、どうやらその日は違っていたらしい。 「小娘。出かけるぞ」 突然襖を開け入ってきたなり、赤髪の男性はそう言った。...
9月21日読了時間: 3分緋の章緋の章 第3話「お嬢様、危険です!お降り下さい!」 「止めても無駄よ!もうこんなとこにはいられない! 絶対にこの屋敷から抜け出してやるんだから!」 昼下がりの屋敷にて、アグネスとその専属の侍女である桜花はなにやら揉めているようだった 桜花「だからって木に登ることないじゃないですか!」...
9月21日読了時間: 2分緋の章緋の章 第2話夜の闇がせまる夕暮れ時。積み上げられた文書に全て目を通した屋敷の主は目の疲労を和らげるよう、瞼を閉じて天を仰ぐ。 空想上の生物だと語り継がれてきた"人喰い竜"の存在が初めて確認された日から早2週間 トランテスタ魔術学校襲撃事件を皮切りに、人喰い竜は不定期に集団で現れては...