9月21日読了時間: 3分蒼の章蒼の章 第9話カラカラと乾燥した熱風が肌を撫でる。 うんざりするようなこの暑さの中でもこの地に適応した馬竜はその歩みを止めることなく… 砂漠の中を進む三人の一行。 途中途中で音葉とアダムが着いてきているのを確認しながら先導するディラン。...
9月21日読了時間: 3分蒼の章蒼の章 第8話乾燥した砂漠地帯を馬竜に揺られながら進む三人の姿が、遠くから見える。 汗すらもすぐに蒸発してしまうような乾ききった暑さ。 炎照らす蒼穹の下、日照りが砂面に反射しつい目を細めてしまうほどに一帯が眩しい。 風に煽られた砂が舞い上がり、まるで踊るように空中を舞っていた。...
9月21日読了時間: 4分緋の章緋の章 第6話雄大な山々がそびえ立ち、清冽な風が吹き降りてくる。 その山脈を背にし、重厚な木造建ての城が佇んでいた。 ここは朧帝国の中央寄りに位置する、月緋が治めている暁龍(かつかみ)領。 城の頂上からは一望できる眺めは壮観で、眼下に広がる城下町が美しく広がっていた。...
9月21日読了時間: 6分蒼の章蒼の章 第7話丘陵地帯の中腹に位置する町。 その周りには青々とした草原が広がり、美しい山々が町を取り囲んでいた。 街と街を繋ぐそこは旅人や商人が立ち寄る安息の場所になっているためそれなりに発展しており、公共施設が充実している。 ディランはその一つである郵便局に寄るためにこの町、エイド町...
9月21日読了時間: 2分緋の章緋の章 第5話月明かりだけが頼りの薄暗い廊下を渡っていく。 昼は鮮やかだった庭園が、夜と闇に染まって静まっていた。 夜風にそよぐ髪を鬱陶しげにかきあげた彼は、彼女のいる部屋へと足を運ぶ。 襖を開ければすぐ目の前に彼女は立っていた。 月緋 「なんだ、待っていたのか?」...
9月21日読了時間: 8分緋の章緋の章 第4話太陽が青を降ろし橙色のカーテンを引く時刻、紅の葉に囲まれた屋敷に陰が落ちる。 特別な事がなければ、暗くなる前に就寝の準備をするというのがここでの習慣。 だが、どうやらその日は違っていたらしい。 「小娘。出かけるぞ」 突然襖を開け入ってきたなり、赤髪の男性はそう言った。...
9月21日読了時間: 7分蒼の章蒼の章 第6話「その歌は…?」 悠々とした草原が広がる場所で一人、ディランがテントを組み立てていると薪集めから帰ってきたアダムに声をかけられた。 優しく吹きつける風が心地好く、つい上機嫌で鼻歌を歌っていたところを見られてしまったようだ… ディラン 「えっ…あ、おかえりなさい…!」...
9月21日読了時間: 3分緋の章緋の章 第3話「お嬢様、危険です!お降り下さい!」 「止めても無駄よ!もうこんなとこにはいられない! 絶対にこの屋敷から抜け出してやるんだから!」 昼下がりの屋敷にて、アグネスとその専属の侍女である桜花はなにやら揉めているようだった 桜花「だからって木に登ることないじゃないですか!」...
9月21日読了時間: 4分蒼の章蒼の章 第5話明日出発の準備を済ませ、夜が更ける頃。 音葉は既に就寝しているが、男二人は未だ火を囲んでいた。 ディラン 「ところで、君のことどう呼んだらいいかな。本当に何も思い出せないかい?」 そう問われた男は考え込むように口元に手を当てる。 沈黙、のち…...
9月21日読了時間: 2分緋の章緋の章 第2話夜の闇がせまる夕暮れ時。積み上げられた文書に全て目を通した屋敷の主は目の疲労を和らげるよう、瞼を閉じて天を仰ぐ。 空想上の生物だと語り継がれてきた"人喰い竜"の存在が初めて確認された日から早2週間 トランテスタ魔術学校襲撃事件を皮切りに、人喰い竜は不定期に集団で現れては...
9月21日読了時間: 3分蒼の章蒼の章 第4話ディラン 「今までの記憶が全部ない、かぁ…」 三人で焚き火を囲みながら音葉のとってきた魚を焼き、火が通ったものから各々口へ運ぶ。 ディランが自分と音葉の自己紹介を軽く済ませ、いざ彼の話を聞こうとしたら何も覚えていないと返されてしまった。...
9月21日読了時間: 2分蒼の章蒼の章 第3話夜風に当たりながら地図を眺めていると、テントの方から物音がした。ディランは手に持っていたものを折りたたみ、テントの中の様子を見る ディラン 「あぁ、よかった。気分はどうかな」 先日、森の中で倒れていたその人間はようやく目を覚ましたようだ。腹をおさえながら彼は体を起こす...